ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020

中国深圳市の華・美術館にて、企画展「ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020」が2021年5月29日から9月12日まで開催されます。
ロングライフデザインをテーマに20年間活動を続けてきたD&DEPARTMENTの取り組みを紹介しながら、中国でのロングライフデザインを探っていく展覧会となります。
公式サイトはこちらから。(中国WeChatへ移動します)
 

【展示内容】
1、ロングライフデザインとは
2、ロングライフデザインの提案と販売:D&DEPARTMENT店舗
3、ロングライフデザイン企業の初心:60VISION
4、ロングライフデザインの地域文化:NIPPON VISION
5、ロングライフデザインを学ぶ:d SCHOOL
6、ロングライグデザインを体験する旅:d design travel
7、ロングライフデザインを味わう:d たべる研究所
8、ロングライフデザイン・ミュージアム:d47 MUSEUM
9、ロングライフデザインのリサイクル:DESIGN RECYCLE
10、中国でのロングライフデザインの実践
これらの他に、展覧会期間中に深圳近郊エリアの持続可能なモノや活動を対象としたd SCHOOLを実施予定のほか、華・美術館のショップにてD&DEPARTMENTのポップアップショップも出店します。





内観写真:©︎華・美術館、photo by 壹誠映像

ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020

日程
2021/5/29(土)~9/12(日)
時間
10:00~17:30(初日は16:00から)
場所
華・美術館/OCT Art & Design Gallery(中国・深圳市) Map OCT Art & Design Gallery Shenzhen

「ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020」公式サイト(中国WeChatへ移動します)

Exhibition Director:冯峰
Curators:左靖、ナガオカケンメイ
Presented by:華・美術館
Organizers:左靖工作室、D&DEPARTMENT
Co-organizers:北京当代藝術基金
Support:华侨城集团有限公司
Special Support:国際交流基金北京日本文化センター
Acknowledgments:深圳华侨城洲际大酒店、安哲建筑、易居乐农、等闲谷艺术粮仓
Space Design:Studio 10
Graphic Design:PAY2PLAY

華・美術館
地球の歴史45億年に比べれば、人類の歴史300万年はほんの一瞬です。そして、そのわずかな時間に、人類は想像力を駆使して輝かしい文明を築いてきました。この想像力は、地球上の他の生き物とは異なる人類特有の大脳の機能によるもので、あらゆるものを創作し、未来を構築することさえ可能です。デザインもまた一種の想像力で、単なる職種や技術ではなく、絶え間ない想像力によって活性化され成長していきます。しかし長い間、人々はデザインに対して深い誤解を抱いてきました。それは消費文化や物欲の隆盛に関連しています。ローエンドの「デザイン」は複製物となり、消費欲求を刺激し経済成長を促す道具として、意図的あるいは無意識に、多くの社会問題や環境問題を引き起こしてきました。この度、華・美術館で開催する「ロングライフデザイン」展は、この誤解を解き、社会にデザインと生活の本質を再考してもらうための試みでもあります。
 
デザインとは、物質ではなく精神を創造することです。「ロングライフデザイン:思考と実践 2000-2020」展で、来場者が目にするモノはすべて日常生活品ですが、私たちが伝えたいのは、これらのモノに浸透している精神です。展覧会、ミュージアムショップ、ワークショップ、出版物などを通して、これらのモノが長く使われてきた過程で「ロングライフ」の理念が生まれ、伝えられてきたことが、来場者の認識の中に構築されることを期待しています。本展キュレーターのナガオカケンメイ氏は、このように語っています。「ロングライフデザインを触発する特異点となるのは“時間”です。“時間”だけが私たちに幸せを与えることができ、ロングライフデザインは幸せへの道標となります」。同じく本展キュレーターの左靖氏は、中国でロングライフデザインの理念を掲げるために、D&DEPARTMENT 黄山店を設立しました。そして現地のロングライフデザイン製品を発掘し、出版物の制作やイベントなどを通じて、「ロングライフ」の理念を実践する手本を示しています。
 
中国初のデザインミュージアムである華・美術館にとって、デザインは常に重要で、また乗り越えたいテーマでもあります。デザインとは単一で固定されたものではなく、人々の生活の変化に合わせて絶えず成長し、新しい形になっていくものです。私たちはデザインの境界を切り開き、公共と社会につなげていくことを常に目指し、それがデザインミュージアムとしての意義であり使命であると考えています。振り返れば2018 年、華・美術館では「もうひとつのデザイン」と題した展覧会を開催しましたが、その時に語られた「もうひとつのデザイン」とは何かという問いの答えを、今日、受け取ることができました。時間は何も語らずとも、すべての問いに答えてくれるのです。
左靖
(キュレーター、農村建築家、『碧山』ムック誌編集長、D&DEPARTMENT黄山ディレクター)
 
消費という概念は、社会的に形成された結果である。産業革命以前には、「持続可能性」という概念は存在しなかったかもしれない。「もったいない」という言葉は確かに昔によく使われていたが、どちらかというと生産性の低さによる物質不足に起因しているところがある。今、技術の進歩がもたらした生産性革命は、生産と消費を社会発展の原動力としている。 特に経済成長率の高い国では、消費を喚起するためにシナリオが作られ、人々はそれを楽しむことが多い。 経済のグローバル化以降、消費社会が刷新され、反復され、国によって発展は異なるものの、ほぼすべての国では消費という概念が社会の中に --- 特に資本主義のロジックの中に --- 包まれていくようになる。 その過程で、産業や具体的な消費財に近いため、「デザイン」が非常に重要な役割を果たしている。
 
今回のテーマは「長効設計 --- ロングライフデザイン」。 このコンセプトの発起人である日本のデザイン活動家・ナガオカケンメイ氏によれば、ロングライフデザインとは「もう一つのデザイン」である。言い換えると、現在の消費者意識を教育すると同時に、前述した資本主義ロジックに従う「デザイン」という概念の見直しと反省・修正でもあるという。長く続くデザインとは、より生態系と同調し、過剰な人工性を排除した、ある種の「デザインされていない」デザインのこと。究極に言うと、「ロングライフデザイン」の推進と実践は、ソーシャル・デザインの一形態である。 つまり、現在の社会が形作った消費の概念を「再構築」することで、無責任な生産・消費への欲求が、合理性、環境保護、誠実さ、自制心、親しみやすさ、持続可能性に戻すことを目指しているのだ。
 
アイデアを定着させるのは、アイデアそのものではなく、実践にある。「長効設計 --- ロングライフデザイン」の思考と実践は、もうすでに完備したシステムであり、2000 年に誕生してから20年が経った。それが生まれた日本では、消費社会は幾度もイテレーションされ、共有意識、環境保護、国民意識、地域意識の高まりの時代を迎えている。一方、中国の状況はもっと複雑だ。過去20年間、中国の急速な経済発展によってもたらされた消費者意識に大きな変化があり、「ロングライフデザイン」の思考と実践が欠かせない課題となった。
 
2020年はコロナの流行で、人間の生き方を変えることになり、生きる価値や生きる意味を見直すことを促した。世界的には、持続可能性の概念の重要性がより広く言及され始め、徐々に社会的なコンセンサスが形成されつつある。今回の展覧会では、中国と日本は発展段階が異なり、社会環境や消費者の考え方、公教育のレベルも異なるが、「ロングライフデザイン」という概念を学び、中国のローカルな考え方や実践を通して、より多くの人が賛同し、実践してくれることを期待する。近代化、都市化、商業化という画一的な価値観に加え、ロングライフデザインのコンセプトから、自然や生命、地域文化、生活の多様性を尊重することで、人間の幸せというもう一つの価値観を再発見したいと考える。
ナガオカケンメイ
(デザイン活動家・D&DEPARTMENT代表)
 
ロングライフデザインとは、欲深き先進国の人類が最終的に行き着く場所ではないかと思っています。
それは、経済成長から、地球環境と人間自体の「心」を蝕むような消費行動を経て、そうした「もの」で満たされた後に行き着く
幸せはものを手に入れても、手に入らないということに気づくこと。では、何が私たちを幸せにしてくれるかというと、
結論は人と過ごす「時間」である。そのための道具が「ロングライフデザイン」だと思っています。
 
人間が地球環境を破壊しながら、作り出すものを人間は「デザイン」と呼んでいますが、
それはかなり時代遅れの考えだと思うのです。
デザインは人間の欲求を満たすため、消費のための造形と考えられてきましたが、もはや、地球はそんなに長くは持たないようで、
今こそ、「デザイン」とは、自然環境と、私たちに与えられた「時間」に沿うものであるべきだと考えています。
 
今、私の住む日本は、そんな状況だと感じます。つまり、経済成長を経て、モノでは人は幸せにならない、
お金では、幸せは買えないと知り、都市を離れ、幸せについて、また、その実感を求め
地方、田舎に移動し始めています。消費やメディアに踊らされることなく、
自分の五感を使える場所に移り住み、自然環境の豊かな土地の中で、自分の幸せについて考え、実感し、ものづくりをする。
そこには人に対する、自然に対する願いや、思い、祈りのようなものがあり、
日本ではそうしたことで生まれるものを「デザイン」と呼び、そうしたものの多くが
長い時間を経て、形作られている。つまり、それが「ロングライフデザイン」であり、新しいこれからの時代のもう一つの「デザイン」
なのだと、考えます。
 
経済成長や地方活性化に潜む「無理」について、
実は私たちは感じ、知っている。気づいていると思うのです。
何を「デザイン」と呼ぶべきか。
経済成長の象徴に「デザイン」をなんとなく置く時代は終わり、もっと自然環境に沿ったもの、
長い時間をかけて作られる、誰かのためのものではなく、「あの人のため」という
具体的な対象がいる、その人のために生まれるもの。
それを「デザイン」と呼ぶべきだと考え、それを「ロングライフデザイン」と名付け、
今、広めています。
 
この企画展は、私がロングライフデザインをテーマに
経営する「D&DEPARTMENT」を一つの題材としたものです。 地球のいろんな都市に、経済発展だけを追わず、サスティナビリティなんて、
経済用語で語ることのない、
もっと自然で無理のない、わかりやすいデザイン思考として、
ロングライフデザインを考えて頂くきっかけとなればと思っています。
【出展者一覧】
KARIMOKU/MARUNI/MARNA/ADERIA/NORITAKE/HOUTOKU/ITOKI/ACE/KOTOBUKI/MOONSTAR/YAMAGIWA/たなか銘産/LANDPROTECT/藤木伝四郎商店/鈴木茂兵衛商店/浜松屋/OTA MOKKO/二上/丸直製陶所/多鹿治夫鋏製作所/矢野陶苑/讃岐かがり手まり保存会/ペーパーラボ/TOSAWASHI PRODUCTS/D&DEPARTMENT/高橋工芸/第一橡胶/CO-UP GUARANA/しょうぶ学園/金井工芸/及源鋳造/HASEGAWA/山内武志/鈴木稔/羽田忠織物/TENJIN/SyuRo/Comme des Garçons/大嶺酒造/FUTAGAMI/fukurasha/源右衛門窯/尾崎人形工房/十三時/坂本工窯/尾上製作所/内藤商店/近江手造り和ろうそく大與/林工芸/登窯広場展示工房館/saredo/吉野割箸/森田千晶/COEDO/菅原工芸硝子/小川漁網商店/滴生舎/Ocho Camp/DAIKO PRODUCT/梅野製陶所/BIG JOHN/奥順/三和酒類/和田邦坊/工藝風向/須浪亨商店/木曽木工協同組合/IS LIFE OLIVE FARM/北海道:瀬戸晋/青森:島守宏和/岩手:田代淳/宮城:村山耕二/秋田:田村一/山形:下山普行/福島:亀田大介/茨城:古橋治人/栃木:佐々木康弘/群馬:萩原将之/埼玉:高橋欣之/千葉:安達綾子/東京:西本良太/神奈川:清水勇太/新潟:大桃沙織/富山:木下宝/石川:山田真子/福井:鈴木美央/山梨:後藤晃一/長野:平勝久/岐阜:安土草多/静岡:吉田直嗣/愛知:岡崎達也/三重:山本忠正/滋賀:大谷哲也/京都:奥村紳介/大阪:稲垣大/兵庫:斉藤幸代/奈良:山本直美/和歌山:梅本敏明/鳥取:山下裕代/島根:石飛勲/岡山:小林克久/広島:shunshun/山口:原田和明/徳島:矢野美穂/香川:石井章/愛媛:篠原元郁/高知:森澤真紀/福岡:和田義弘/佐賀:山本亮平/長崎:小島鉄平/熊本:高光太郎/大分:松田浩樹/宮崎:崎村久/鹿児島:榮大貴/沖縄:玉元利幸/宮城:気仙沼ニッティング/山形:AKAONI/埼玉:森田千晶/岐阜:浅野商店/广东衣起来环保科技有限公司(回收衣物捐赠方)/碧山工销社/《d 设计之旅・黄山》/ klee klee/engraft/失物招领/夏木织物/旧好商店/设计互联/连雅婷(海藻纺织品)/李丽君、孙文溪(LSD LAB)
以上、展示セクション順