布カバーなしで使える柔らかい湯たんぽ
ドイツの医療現場などで、業務用としても使用されているfashy(ファシー)の湯たんぽ。この製品は、両面にラジエーター(表面の斜めの溝)がついている事により、中の熱が優しく伝わり、布製のカバーを付けずにそのまま使用できる。
誕生
ドイツの老舗ゴム製品メーカーfashy社は1948年、都市シュトゥットガルトで設立。ドイツは、日本の北海道と同じくらいの緯度に位置し、年間平均気温は約10度の土地。ドイツをはじめ、ヨーロッパーでは古くから湯たんぽを使用する習慣があり、確認されている最古の湯たんぽは、1560年のすず製のもの(fashy社調べ)。世界共通で、プラスチックが普及する以前の湯たんぽの素材としては、金属が主に使用されていたことが想像できる。しかし、1939年よりはじまった第二次世界大戦の軍事利用により、金属は貴重な存在となっていく。戦時中には、金属にかわる資源確保を目的に、産業用のプラスチックの研究開発は著しく進み、大量に生産された。終戦から間も無くして、fashy社の創業者フリードリッヒ・クラウスはプラスチック製品が時代をリードしていくことを予見し、革新的なゴム製品やプラスチック製品の卸売業をスタートさせた。数々のプラスチック製品を製造していく中で、1976年、ついに世界的大ヒットのfashyの湯たんぽの前身となる、熱可塑性プラスチックの湯たんぽが開発される。
つづく仲間
fashy社は、ドイツでの知名度も高く、ドイツ製湯たんぽの半分をつくっているといわれるほど。開発から40年以上にわたり、「暖かさを通して健康を提供する」ことを追求し続けてきた。ドイツではよく見られる、従業員100人弱の中規模の同族経営の形態。社内では、ドイツ品質とは「ドイツで調達した材料をドイツの機械で製造し、自社と外部機関の徹底した品質検査を通して達成されるもの」と規定し、高い品質を確保している。安心・安全な製品作りを徹底している姿勢が、世界各国より信頼され、愛されつづけている、一つの要因であるだろう。
つづく暮らし
本体に入れるお湯の温度は、熱湯ではなく、少し冷まして40度~60度程度が気持ち良い温かさだ。80度以上は火傷の危険性だけではなく、商品劣化を早める可能性があるので避けたい。量は本体の約半分から7割程度にして、余分な空気を追い出してスクリューキャップをしっかりと閉める。お湯を入れて外気に触れた状態では3~4時間。布団などの中で使用した場合は、5~6時間ほど暖かさが継続する。冷水を入れ冷蔵庫で冷やせば水枕としても使用可能のため、風邪をひいたとき、怪我をして患部を冷やしたいとき、寝苦しい夏の夜にも活躍する。
fashyの湯たんぽは、柔らかく体にフィットする。この柔らかさは、本体で使用している熱可塑性プラスチックPVC(ポリ塩化ビニル)樹脂製素材にある。PVCは、加工の段階で樹脂の固さを自在に変えられることができ、無臭でリサイクル可能という特徴をもつ。体にフィットするような柔らかさに調整してつくられているため、寝る時だけでなく、冷えやすいデスクワーク時に、膝の上や椅子と腰の間に置いて使うなど、用途の幅が広い。乾燥しやすいエアコンなどの暖房を使うことなく、ピンポイントで体の芯から温めることができるのもうれしい。
また、数あるPVCの湯たんぽの中で、最も特徴的なのが、両面についているラジエーター(表面の斜めの溝)。このラジエーターにより、中の熱が優しく伝わり、布製のカバーを付けなくてもそのまま使用でき、継ぎ目のない一体構造で破れにくく丈夫。また、湯たんぽ自体に厚みが生まれ、暖かさの維持に繋がっている。
メンテナンス
使用しないときは、よく乾かしてから直射日光を避けた場所に保管する。汚れが気になったら軽く湿らせた布で汚れを拭き取る。下に穴が空いているため、逆さまにしてS字フック等で引っ掛けておくことで、容器内を乾かすことができる。オフシーズンなど、長期間使わない場合は、容器内をよく乾かしてから保管する。万が一、スクリューキャップを紛失してしまった場合も、蓋のみで購入することが可能。
お気に入りのポイント
冬はもうfashyの湯たんぽなしでは寝られません。それくらい毎日使っているため、もはや習慣です。夜、布団に入る時に指先が冷たいままだと、なかなか眠りにつけないので、寝る30分前くらいにお湯を沸かし、布団の足の方に入れ温めておきます。そして、布団に入ると真っ先に足を温めます。足が温まったら、湯たんぽを抱えて寝ます。抱えられるくらいのやわらかさが、なによりもお気に入りのポイント。夜寝るときに電気毛布やエアコン暖房を使うのが苦手なのですが、湯たんぽには自然な暖かさがあります。朝になるとぬるくなっているので、中の水を植物に水をあげることも。生活の道具を新たに買い足した時に、習慣や行動(あるいは所作)が変わる瞬間がとても好きなのですが、このfashyの湯たんぽもその1つ。毎日使うモノ・道具によっても、日々私たちの生活のリズムはつくられていることをとても実感します。(金藏未優/東京店ショップスタッフ)
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