スタッフの商品日記 112 SLIPPERS FROM LIFESTOCK

一点もののスリッパ「SLIPPERS FROM LIFESTOCK」

SLIPPERS FROM LIFESTOCKの生地は、毛織物の名産地である愛知県と岐阜県の尾州産地の上質なウール生地を重ね合わせてつくっている。RUG FROM LIFESTOCKと同じウール生地を重ねニードルパンチでつなぎ合わせた生地を使用したスリッパで、1点1点それぞれ異なる表情をみせる。

誕生
韓国チェジュ島にあるD&DEPARTMENTの宿泊施設「d room」のために製作されたスリッパ。スリッパも様々なカタチがあり、素材も多くある中で、何度も試行錯誤を重ねた。

百貨店に並ぶような形状のスリッパから始まり、さまざまな形状で繰り返し試作を行ない、最終的に採用したスリッパのカタチは、ホテルで使用するため、衛生上の理由から毎日洗濯ができる様、芯などの異素材は使用せず、ウール生地のみを使い仕上げた。チェジュ島の「d room」が開業した当初、生地1枚仕立てのスリッパだったが、後に裏底を1枚追加して、厚みを持たせる様に仕様変更を行なった。

つづく産業
スリッパで使用している生地は愛知県と岐阜県の尾州産地の上質なウール生地を重ね合わせてつくっている。尾州産地は現在は全国一の毛織物産地とされているが、その成り立ちは奈良時代以降に、麻織物、絹織物、綿織物、毛織物など素材を変えながら、織物産地として発展してきた。この発展には木曽川の豊かな水と、肥沃で温暖な濃尾平野が貢献しており、絹の生産に必要な桑畑や、綿花畑に適した土壌が豊富に存在していたことが影響している。明治時代に入ると、洋装の時代の流れに合わせ、尾州は羊毛工業に注力し、全国一の毛織物産地となった。この地域では糸から生地になるまでの多くの工程が分業と協業によって一貫して行われており、紡績、撚糸、染色、製織、編立、整理加工など、各工程で専門的で高度な知識と技術が長年にわたって継承してきた。今では世界三大毛織物産地はイギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラ、そして日本の尾州といわれている。

つづく仲間
生地の最終加工となるニードルパンチ加工を行うのは群馬県桐生市にある「Tex.Box」。
代表の澤利一さんは、2004年独立するときに東京に一番近い機場が桐生なことをきっかけに、この地に魅了され移住。
通常、ニードルパンチの機械はフェルトやカーペットなどの不織布や、大量の資材を製造する工場のラインの一部で使用される。しかし、澤さんはニードルパンチを駆使し、布地とプチプチの緩衝材を組み合わせた生地や、習字と生地を重ねて文字が書かれた生地など、自由な発想で新しい生地を制作し、発表し続けている。

製造について
尾州のウール生地を使用し、スリッパに適した厚みになる様に生地の加工を行う。ウールの反物を広げた上に、さまざまな色や柄のはぎれを仮置きし、生地を丸める際や輸送時、生地の位置がずれることなく、デザインが乱れないように、配置された布地は1点1点手作業で仮留めを行う。

その後、ニードルパンチと呼ばれる技法を使用して、生地を重ね合わせ、厚みを持たせる。この過程により、ウールの毛糸が絡み合い、生地は一枚の厚い生地となる。

ニードルパンチは、剣山状の様なしたから無数の針が出ている機械を使用し、高速で繊維を何度も突き刺すことで、生地の繊維同士を絡ませ、圧着させる技法。

この加工により重なり合ったウールの毛糸が絡み合いながら圧縮され、それぞれの布地は一体となり一枚の厚い生地となる。RUG FROM LIFESTOCKも同じ技法でつくられている。澤さんの加工が終わった後、型抜きが行われる。型抜きは抜き場所によって柄が異なるため、柄を考慮しながら1点1点型抜きが行われる。その後、縫製と仕上がりと工程を経て行く。1点1点異なる柄を持つこのスリッパは、左右も同様に異なるため、最終工程ではデザインチームが柄に配慮し、左右のバランスを考えながら組み合わせが決まると一点ものの柄のスリッパが完成。

お手入れと注意点
・ゴムやシリコンなどの別素材を使用する滑り止め加工は、劣化しやすいため行なっていません。フローリングやタイルなど滑りやすい場所での使用はご注意ください。
・洗濯はドライクリーニングか手洗いでお願いします。液体の中性洗剤をご使用になり、水かぬるま湯で軽く押し洗いをしてください。
・洗濯機の脱水機能を使って短時間で脱水後、形を整え、平らにし、風通しのよいところで、日陰干ししてください。(タンブラー乾燥は避けてください。)
・洗濯方法によっては、表面の風合いの変化や縮みが発生する場合があります。

日々のお手入れは、ゴミなどが付いた時に粘着カーペットクリーナーなどを使いお手入れをしながらご使用ください。

お気に入りのポイント
毛糸編みのウールのスリッパの印象なのか私自身、ウールのスリッパは足の甲がチクチクしそう、、という印象がありましたが、SLIPPERS FROM LIFESTOCKで使用しているウールは、コート地などの厚手で柔らかい上質なウール生地な事もあり、素足で履いてもフカフカしており肌触りが気持ちがいい。ジャストサイズを履いている事もあり、ウールの厚手靴下を履いている感覚です。冷え症なので、冬の寒い日だけでなく、夏の冷房が効いている室内でも活躍しています。また、甲の部分に芯などが入っていない仕様なので、保育参観などでスリッパを持ち歩く際も嵩張らず持ち運べるのもお気に入りです。(商品部 / 笹倉隆子)

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