体に馴染んでいく半纏(はんてん)
半纏は、着物に帯を締めた上に、羽織って着るわた入れの防寒着として江戸時代後期から庶民の日常着となった。その後、70年代のオイルショック時にエネルギーを使わず暖かい部屋着として広まっていった。
福岡県筑後市で50年以上に渡り、わた入れ半纏を生産し続ける宮田織物。その中でも製造初期から作り続けている藍調はんてんは余分な切り替えがなく、テキスタイルを活かす型で作られている。また、着心地を追求するために職人が一針一針仕上げており、手入れしながら使うことで、長く使え、使えば使うほど体に馴染んだ半纏となっていく。HANTEN LIFESTOCKは、藍調はんてんをベースに、表生地は、倉庫に保存されていた生地を再利用し商品をつくる「LIFESTOCK」プロジェクトの生地を使い、外着としても着用しやすいD&DEPARTMENT仕様の半纏。(LIFESTOCKの詳細はこちら)
つづく仲間
半纏を製作するのは、創業1913年の宮田織物株式会社。
工房がある福岡県筑後市は、国の重要無形文化財「久留米絣(かすり)」の機元(はたもと)が数多くあることでも有名。1913年創業有馬木綿の里、福岡県筑後市で、創業者である宮田サカヱ氏が久留米絣の機織り(はたおり)を始め、昭和30年代までは、「宮田織物の商品は久留米絣」だったが、昭和33年から小幅(約36cm)織物の久留米絣の製造に加え、時代の変化に合わせ、広幅(150cm)織物の織機も導入した。その後、作業着の縫製にも着手し、現代にあわせたものづくりを行ない始めた。宮田織物の特徴でもある、生地織りから縫製まで行う一貫生産体制も、ここから始まった。現在では、宮田織物のオリジナルテキスタイル「和木綿」の生地織りを行っている。和木綿と久留米絣は、糸、織機、織り幅、風合い、色柄と違う部分がいろいろある。けれども、久留米絣の根本的な特徴である庶民の普段着という部分は、和木綿でも変わらない。
宮田織物の半纏は、木綿わたを使用。
木綿わたは、繊維に空洞があるので保温性があり、さらに静電気も起きにくい特徴がある。さらに天然繊維の木綿わたにふくらみを補うため、混紡わたには、ポリエステルわたを20%ブレンドして木綿のわたの良さを損なわないよう試行錯誤した絶妙な割合となっている。空気をたっぷり含んだわたは、汗をかいた際には蒸気を逃がしてくれるため、1日中快適に過ごす事ができる。
わた入れ半纏では、シート状のわたを重ねて、手作業で詰めているため、長年にわたって着用してもわたが切れたり偏ったりしにくい。
わた入れの際には、わたの性質を考慮し、部分的に厚くしたり、薄くしたり、わたの繊維の方向を変えることで強度も加え、手で加減をしながら、中わたを入れていく。
「いちにいさん。」と職人が二人一組となり、声は出さずとも絶妙なコンビネーションで、リズミカルに半纏にわたをいれていく。手作業だからこそ背中や裾などのすみずみまでわたを丁寧に入れることができる。
わた入れを終えた後の縫製は、一針一針手縫いで行っている。
ミシンを使うと綿のボリュームをミシンが潰してしまうため、宮田織物の半纏は一つ一つを手作業で綴じることを徹底している。とじ縫いは、わたの入り具合を見ながら、半纏の各部位に必要な強度に応じて力のかかる所の針目は小さく、原則として7~8mm程度の針目で、わたのふっくら感を生かすように手で加減しながら、とじていく。襟周りをふっくらと仕上げることができるのは、手綴じの作業ならでは。すべては、着心地を追求するために一針一針職人が手作業で仕上げている。
お手入れ方法
1、お洗濯は1シーズンに1回。
軽く畳んで、手洗い(押し洗い)でお願いします。
2、洗濯機で脱水したい場合は、
きちんと折り畳んで洗濯ネットに入れ、脱水時間は短くして下さい。
3、しわを伸ばし形を整えてから直射日光を避けて、平干ししてください。
※乾燥機の使用は避けてください。
お気に入りのポイント
半纏の、軽いけど重くない、ちょうどいい重さで包まれる安心感が好きです。寒くなり始めや、三寒四温を感じる季節はクローゼットの手前側にかけています。軽いアウターは世の中にいろいろありますが、「袖が太い」「前は紐だけ」といういわゆる半纏らしいデザインが、脱ぎ着の簡単さにつながり、ついつい手に取りたくなる理由だと思います。もともとは、子どもの抱っこやおんぶをしたまま羽織るのにいいなと思って、ねんねこ半纏として購入しました。抱っこ紐ごとパッと着れるしすぐに脱げる。寒い時期の子育てに、あってよかったアイテムの一つです。抱っこ紐を使わなくなった今も、近所への買い物やちょっと昼ご飯を食べに出るとき、家の中で肌寒くなにか羽織りたいときなどに愛用中です。セミオーダーで選んだのは、伝統的な半纏には無いコーデュロイ。いつもの服装に合わせても違和感がないので意外にコーディネートに困りません。半纏という昔からあるアイテムも、生地に特徴のあるものを選ぶことで、「和」っぽくなりすぎず、自分のいつものスタイルに取り入れられました。(吉田晶/ネットショップ)
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