スタッフの商品日記 093 マルニ60+ コンビネーション 

マルニ木工のDNAを感じる、マルニ60+のコンビネーション
その時々の暮らしに合わせて使い続けられるコンビネーションは、株式会社マルニ木工で作られています。シンプルな箱型のシェルフに棚板や扉、18cmの脚組を足していくことで、機能を増やすだけでなく、新たな景色を生み出します。暖かみのあるオーク材と、重厚感のあるウォルナット材による木材の展開、白・黒・ガラスの3色の扉のカラー展開、さらには金具を使いながら、シェルフを積み上げたり、横に並べる拡張性から、さまざまな組み合わせで、その時々の暮らし方に寄り添ってくれるため、長く使い続けられるシェルフです。

つづく仲間
1928年創業の「昭和曲木木工」を前身とした「マルニ木工株式会社」は1933年に創業しました。家具職人の手作業から「工芸の工業化」を目指し、洋家具の量産化にいち早く乗り出した、高い技術を誇る広島の家具メーカーです。受注生産の高級品である彫刻家具の工業化を図り、1968年「ベルサイユ」で洋家具史上大ヒットを機に、日本を代表するブランドとして確立するだけでなく、伝統的なものづくりの美しさを生み出すメーカです。「100年先まで愛される家具つくり」を目指し、今なお日本の家具づくりを牽引しています。▲1928年、昭和曲木工場

 

60VISION
1960年代、マーケティングの考え方が浸透する以前は、消費者のニーズよりも先に、メーカーが提案したい「世界に共通するスタンダード」を作るべく、情熱を持って作られたモノが多い時代でした。そのため、日本のデザイン、さらには“企業の原点商品”となるようなモノは、シンプルかつ普遍的な価値を持っていたのです。しかし、次々に生まれる「新商品」により、埋もれてしまったり、廃番になってしまうことも珍しくありませんでした。そのような商品の価値を見つめ直し、企業のものづくりへの思いとともに、息の長い商品へと育てるためのプロジェクトが60VISION(ロクマルビジョン)です。60VISIONは、当時12社の老舗企業と共同していました。マルニ木工の参画は、2006年。しかし、60VISIONの参画メーカーの中でも、マルニが60VISIONに参画する意図は少し、他のメーカーとは違った意味合いを含んでいました。

 

マルニ60にかける思い
60VISIONに参画する以前から、すでにマルニでは、20~30年を超えるロングセラー商品が多くあり、長く愛される商品づくりと将来を見据えたアクションが行われていました。それでもなお、60VISIONへの参画を行なったのは「原点である創業者の思いや、信念を持ち続けながらも、新たな時代に対応しつづける力をつける」といった、マルニのものづくりに対する熱い思いがあります。そして、マルニ60が生まれるきっかけとなったのが「NO.79」、通称「みやじま」と呼ばれる椅子の復刻です。1960年代に製造・販売されていた宮島は、創業者の出身地であるとともに、宮島の厳島神社をモチーフにデザインされた椅子です。少ない木材でシンプルかつノックダウン式の構造により、さまざまな使い方と快適な座り心地を可能にしていました。現在では、名前を「オークフレーフチェア」に改め、デザインやサイズは当時のまま忠実に再現されましたが、時代に合わせてフレームの種類・張り布の追加、さらに1シータ・シングルアーム(肩肘付き)・アームレス(肘なし)を製作し、1シータから3シータに拡張できるものとして再び販売されています。流行に流されない、普遍的な価値を提供するためのものづくり、そして企業の原点である創業者の想いと情熱を持ち続けるために、マルニ60では企業の原点商品の復刻商品と、企業のDNAを感じさせる「ロクマルプラス」の商品が並びます。

 

▲「NO.79」、通称「みやじま」

コンビネーションの誕生背景
「オークフレームチェア」のように拡張性のあるシェルフをつくる、というコンセプトの元、2014年に誕生したマルニ60+のコンビネーション。2007年からリビングルーム全体をマルニ60でコーディネートできるように、とコーヒーテーブルをはじめとしたさまざまな「ロクマルプラス」のアイテムが生み出されてきました。そのうちの1つが、コンビネーションです。飽きが来ない形であることと、上にも横にも拡張性を持たせるために、シンプルな「箱型」を採用しています。脚形状や側板の前面の丸み、拡張性など、オークフレームチェアにも共通するデザインを継承しており、シンプルな中にどこか懐かしさを感じます。

▲側板の丸み


▲マルニ60に共通する脚形状

 

コンビネーションのこだわりとつづく暮らし
普遍的な価値を提供しつつ、拡張性のあるデザインの裏側には、さまざまなこだわりや作り手の思いが込められています。そのうちの1つが、コンビネーションを構成するアイテム数の多さ。シンプルな箱型のシェルフから、棚板、脚組は別売りです。これは、長く使っていく上で、変化する暮らしに対応するための仕組みです。さらに、積み重ねの金具や脚組の取り付け方もいたってシンプル。そんな実用性だけでなく、見た目の美しさを実現する細かなこだわりもあります。その1つが、空間に置いた際の圧迫感を抑えるべく、天板と底板の角度を斜めに5度落とすというもの。わずかに内側に入るような形となり、シェルフに表情を生み出します。さらに、裏面は突板を貼っているため、壁付けだけなく、お部屋の仕切りのような使い方も可能にしています。

▲天板と底板を斜めに5度落としている

▲背面に突板をつける

使用している木材は、暖かみのあるオーク、重厚感と渋味を増す経年変化が特徴のウォルナットです。どちらも森林を維持する持続可能な森林経営に基づいて植林伐採された木材が使用されています。
このように生産方法から細部のデザインまでこだわり尽くしたコンビネーションは、私たちの暮らしが変わろうとも対応する力を有しています。一人暮らしの部屋でも、ご家族づれの暮らしでも、拡張するシェルフの楽しみ方は尽きません。また、普遍的なデザインだからこそ、引越しの際や年齢を重ねても飽きることなく使いつづけることができます。

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お気に入りのポイント
オークフレームチェアしかり、洋家具を作るマルニ木工ですが、コンビネーションを見た時に、どこか日本らしさを感じました。それはおそらく、扉のデザインがどこか和室のふすまに似ていたからです。現代の日本の暮らしには、家具に限らず、ありとあらゆる場面において洋の要素が多くあります。しかし、このシェルフは、洋の暮らしの中に、そっと和の懐かしいデザインを投入し、かえって真新しさと懐かしさを混在させているように思えるのです。一度組んだ組み合わせで満足するのではなく、何を収納しようか、シェルフを積み上げるのか、横に置くのか、棚板はどこに差し込もうか、脚組も買ってしまおうか…なんて、組み合わせを考えている時間もまるごと楽しみたいです。(金藏未優/東京店ショップスタッフ)

 

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