「おかわりしたいお米」美山町 齋藤 碌さんの米作り

d食堂京都では、京都の郷土料理や生産者をテーマに季節ごとに変わる定食を提供しています。8月上旬、秋の定食「美山定食」で新米を提供していただく米農家の齋藤碌さんへ会いに京都の北部、美山町へ行ってきました。

美山町は、町の面積の96%を森林が占める緑豊かな大自然に囲まれ、日本の古き良き農村町の原風景を残す、その名の通り美しい山の町。

京都店から北に車を走らせ、約1時間半。日頃、賑やかな街中で生活をする私たちは、山道を越え、美しい緑のトンネルを抜ける道中で既になにかが浄化されたような気持ちになりました。

碌さんとの待ち合わせ場所は、山の麓の田んぼ。笑顔で挨拶を交わしたのも束の間、足下の水路を見ながらさっそく碌さんからお米作りの話が始まりました。

「ここに流れている水は、源流水。山から直接流れてきた水がそのまま田んぼへ引かれている。源流水はすっきりしてる…」慌ててメモを取り出した私たち。「水は山から川、そして海へと流れていく。美山に限らず、農作物をまだ生活用水の混ざっていない山の源流域で作るのは良い」。

いきなりの核心をついたお話と、あたりを見渡す限りの美山の大自然を前に、到着して直ぐにこの土地の根っこの強さを体感しました。

そのまま私たちは、碌さんの後について山道を進み、山川まで案内していただきました。

「昔から、水はとても大切なものだった。水がなけりゃ農作物は育たない。山川が氾濫しないように日頃から街のみんなで整備をして、洪水が起こったら皆で協力して土砂を運び出してきた。田舎暮らしで農作物を作る為には、自然環境を手入れすることは必須条件。欠かせない仕事なんです。」

何かあれば当たり前のように町民全員で協力する・・。田舎と呼ばれる地域の住民の関係性の深さと、農作物を作ることはその土地の風景を作ることにも繋がっているのだと感じました。

碌さんがお米作りで大切にしているのは、お米の「食味(しょくみ)」。

食味とは、口に含んだときの味わいを指しています。

おいしいお米は“甘い”というイメージがありましたが、甘すぎるお米はとひと口目は良くても、量はたくさん食べられないもの。碌さんのお米はどこか“さっぱり”としていて、「何杯もおかわりしたくなる」そんな味わいを目指しているそうです。

碌さんの考え方の根底にあるのは、師匠にもらった「全てを命として考えろ。」という言葉。

苗は小さい時に厳しく育てます。背の高い苗は一見元気そうに見えますが、田んぼに植えた途端にすぐにへたってしまいます。最後まで残るのは太く短い苗、大事なのは目に見えない根っこの部分。

そして、碌さんは稲に向かって「お前らべっぴんやのう。」と声を掛けながら田んぼを歩くそう。目一杯の愛情を注ぐとお米に伝わる。同じ育て方をしていても、その成長の仕方には大きな違いがあったそうです。

人も農作物も同じ、大切なことは変わらないようです。

畑に移動した私たちは、まだ米を実らす前の緑の稲を見ながら、スイカをご馳走になりました。この日はまだまだ日差しの強い真夏日。大自然の中で食べたみずみずしいスイカは、全身に沁みわたました。

街中で生活をしているとつい忘れてしまいますが、私たちは自然と共に生きているということを強く感じた一日になりました。

大切なことは、自然から学んできた昔の人たちが教えてくれていると碌さんが話してくれました。

四方を山々に囲まれ、べっぴんさんの稲を眺めながら、この日を振り返ります。

美山町の農作物は、これまで町民が守り続けてきた、美しい自然と恵みの水で育っているということが何よりもの強み。そして、お米本来のおいしさにこだわり、「何杯も食べれるお米を作りたい」という思いで、その土地に根付いた米作りをしている碌さんからは、美山町と米作りへのとても大きな愛を感じました。

この人の作るお米が食べたい。是非、みなさんにも食べてもらいたい。そう心から思いました。


d食堂京都では、2024年10月11日(金)から「美山定食」が始まります。

食堂スタッフが自ら感じ、感動した美山らしさ。碌さんの新米と一緒にひとつの定食として提供します。食欲の秋、d食堂京都へごはんをおかわりしにきてください。

 

また、10月25日(金)には、講師に齋藤碌さんをお招きし「d SCHOOL わかりやすい米づくり」を開催!詳細はWEB、d京都店のSNSにてお知らせいたします。

d SCHOOL わかりやすい米づくり
開催日:2024年10月25日(金)
時間:18:30~20:00(受付:18:00)
定員:20名
参加費:2,200円(税込)※お米の試食付き
申込方法:WEB、店頭、お電話(075-343-3217)にて

 

「京都・美山定食」

提供開始:2024年10月11日(金)予定
営業時間:11:00~18:00(食事L.O 15:00)※水曜定休
場所:D&DEPARTMENT d食堂

<店舗情報>
D&DEPARTMENT KYOTO/d食堂 京都
住所:京都府京都市下京区高倉通仏光寺下ル新開町397 本山佛光寺内
TEL:075-343-3215(食堂) 075-343-3217(SHOP)
instagram:@d_d_kyoto