D&DEPARTMENT TOYAMA GALLERYの恒例企画である「富山プロダクツ2023 ニュープロダクツ展」。2023年度も新たに「富山プロダクツ」に選定された商品をギャラリーでご紹介しています。「富山プロダクツ」とは、富山県内で企画・製造された製品の中で、機能性やデザイン性に優れたものを選定し、国内外に向けて広く発信していく取り組みです。
今年の選定品の中から、私が気になった「ダブルウォールカラフェ」を紹介します。
「ダブルウォールカラフェ」を作っている富山市にある株式会社リッチェルに伺ってきました。
田園が広がる道を車で走っていると、ガラス張りの大きな建物が見えてきます。
株式会社リッチェルは、1956年創業のプラスチック製品の総合メーカーです。
株式会社リッチェルは、バス・キッチンなどの生活用品やベビーチェア、赤ちゃん用の食器などのベビー用品、他介護用品や医療用品、ガーデニングアイテムなど生活で使うあらゆるアイテムを作っています。それらをすべて自社で企画からデザイン、設計、製造、販売まで一貫して行っています。
ショールームには、リッチェルが作っているアイテムがたくさん並んでいます。
今回お話をお伺いしたのは、「ダブルウォールカラフェ」のデザインを手がけた、デザイン部プロダクトデザイン課の浦辺諭さん。
浦辺さんは、「ダブルウォールカラフェ」のデザインを手がけるにあたり、結露しにくさ、持ちやすさ、洗いやすさという3つのポイントにこだわりデザインを考えたそうです。
冷水筒を開発する際、まずは消費者からの声を参考にされました。その中で、もっとも多かった声が冷たい飲み物を入れた時の結露が気になるということでした。私も冷水筒は、出しっ放しにして時間が経つとテーブルの上が濡れてしまうのが気になってました。その結露を少なくする為に、本体を二重にしました。二重にすることで空気の層が壁になり、結露しにくく、さらに中の液体がぬるくなりにくく冷たさもキープできます。
2つ目にこだわったポイントは、持ちやすさです。浦辺さん自身が手で何度も削ったり、3D造形プリンターでデザインを何度も変え試行錯誤しました。初めは持ち手をつけてみたりしましたが、テーブルに置いていてもインテリアの一部として馴染むようなデザインにしたいと考え、今の形になりました。シンプルなデザインですが持った時、手にフィットし持ちやすくなってます。
3つ目にこだわったポイントは、お手入れのしやすさです。開口口は食器用スポンジが入る広さに設計されています。
パッキンレスで、底方も丸くカーブしていることで洗いやすい様に工夫されています。私も自宅で冷水筒を使う際、底の角に汚れがたまり、洗いにくいのが解消できたらいいのになと思っていました。
お手入れしやすいデザインにすることで、使いやすく長く使い続けるための工夫がこの商品にはたくさんデザインされてます。
浦辺さんが考えるプラスチックの魅力とは、金型上の制約等はありますが、形状を作る上で、自由度が高いこと。だから持ちやすく、洗いやすい形ができる。また、プラスチック製品は、形の自由度以外にも、透明なモノの表現も可能であり、デザイン(意匠)を考える上では、可能性が高い材質だと言います。
こちらは、金型を磨く前の「ダブルウォールカラフェ」です。
金型を磨いた後の「ダブルウォールカラフェ」です。
浦辺さんの細やかな工夫とリッチェルならではの技術が、沢山詰まった「ダブルウォールカラフェ」。ぜひ店頭でもチェックしてみてください。