大和桜酒造の蔵見学と焼酎ツーリズムかごしま

今回、d鹿児島店の鹿児島セレクトとしてご紹介している焼酎の蔵元、いちき串木野市の「大和桜酒造」に鹿児島店スタッフで行ってきました。

鹿児島県内には約110もの焼酎蔵があります。これは全国で1番多い蔵数であり、焼酎目的で鹿児島を訪れる観光客も多く見られます。その中でいちき串木野市は県内でも有数の焼酎の産地で、大和桜酒造の向かいにも大きな蔵元があるなど、8つの蔵が集中している地域です。

大和桜酒造はおよそ170年の歴史がある蔵元で、杜氏を務めるのは2005年に5代目を受け継いだ若松徹幹さん。昔からつづく焼酎づくりに加え、焼酎文化を現代のカルチャーとして変化させ、伝えていく活動を行っています。その発信力から、県内でも最小に近い規模の蔵でありながら、海外から見学に訪れる方も多く、世界中から上品なお酒を選び抜くパリのウイスキー専門の老舗店が大和桜をセレクトしたりするなど、世界からも注目されています。

焼酎造りの始まりはまずお米を洗うこと。朝6時から150キロのお米をシャベルを使い、手作業で洗います。洗ったお米を2回に分けて蒸し、石蔵で作られた麹室で麹菌と混ぜ合わせて麹が作られます。多くの焼酎蔵では一部機械化しているところが多いなか、大和桜ではこれら全てを手作業で行っています(他の蔵からは若干引かれるらしい)。その分、膨大な時間がかかりますが、その時間も自身と向き合う大切な時間だとおっしゃる徹幹さん。

焼酎に欠かせない芋。メインの焼酎である「大和桜」にはコガネセンガンを使用しており、750キロの芋をすべて手洗いして、傷んだところや両端を切り落とす“芋きり”の作業を徹幹さんとお手伝いの方の2~3名だけで行っています。時間だけではなく、とても体力の使う大変な作業ですが、それでもなお手作業を続ける理由は焼酎づくりとしてのこだわりだけでなく、さつまいも農家の方と直接話してつながりを途切れさせないためです。

一次仕込み、二次仕込みともに地面に埋められた甕壺による醸造を代々続けています。地中の温度が一定であることが重要で、その環境で蒸留を行い、じっくり熟成して焼酎が造られています。徹幹さんは焼酎造りにおいて、ただの手作りではなく、洗練された製法だけど、どこか温かみがあることを大事にしていて、全ての工程をストイックに挑んでいる姿に触れることで実際に感じることができました。

徹幹さんは焼酎の新しいファンづくりのため、また焼酎のポテンシャルを一番発揮させるため、新しい飲み方の提案にも力を入れています。今では定番となった焼酎のソーダ割りも、鹿児島では徹幹さん発信との話も。見学の最後には大和桜紅芋とチョコレートのペアリングを試飲させていただきました。紅芋のほんのり香る甘さとビターなチョコレートの相性は抜群。紅芋はコーラとの相性も良く、焼酎を初めて飲む方にもおすすめです。

今回大和桜酒造を見学させてもらい、発信力や焼酎カルチャーといった活動に目が行きがちな徹幹さんの、先代から受け継いだ昔ながらの手法を継承し守り続け、未来に繋げていく杜氏としての姿を知ることができました。店頭でもその姿をより多くの人に発信し、焼酎の魅力を伝えていきたいです。

 

また、大和桜酒造は2月25日に開催された「焼酎ツーリズムかごしま2023」の参加蔵でもあります。

焼酎ツーリズムかごしま2023は今回が初めての開催で、鹿児島県いちき串木野市と日置市にある6つの焼酎蔵を巡回バスで周遊しながら、焼酎蔵とその地域をまるごと体感できるイベントです。実際に焼酎が造られている現場で杜氏と直接会話をすることで、普段知ることのできない各焼酎の特徴を知ることができ、蔵の周りを散策して飲食や買い物、宿泊することで鹿児島の魅力も発見できます。

今回は鹿児島店から2名のスタッフがボランティアとして参加してきました。

参加者はボランティア含め約130名で幅広い年齢層の方が参加されており、その4割は県外からという広く注目されたイベントでした。私たちは3つの蔵を周りましたが、焼酎造りの工程やこだわりなど杜氏さんから聞ける話は蔵ごとに異なり、見比べながら焼酎について知ることができる貴重な体験となりました。また、見学しながら焼酎を飲み交わすことによって参加者同士とも会話が広がって、街でグラスを持った参加者を見かけると挨拶を交わす場面もありました。

ツーリズムで出会った人たちと共に行動しながら鹿児島の焼酎文化により深く触れることができる機会ですので、次回開催時はぜひ参加してみてください。

 

焼酎ツーリズムかごしま2023 ??? Instagram|@shochutourism

大和桜酒造 ??? Instagram|@yamatozakura