地主共和商会へ行ってきました

D&DEPARTMENT MIE by VISONにはどら焼きスタンドがあります。伊賀市出身の和菓子職人「まっちん」さんと一緒に一からレシピを開発し、三重のどら焼き「dどら」を作りました。dどらに使われている、卵、蜂蜜、菜種油、小麦粉といった素材は三重県産の素材にこだわっています。

今回は、生地に使用している卵の生産者「地主共和商会」へ伺いました。
 
「地主共和商会」は三重県多気町の山々に囲まれた場所にあります。三重県内では地主共和商会が運営する直売所「コケコッコー共和国 山の駅よって亭」として名が知られており、新鮮な卵や鶏肉が食べられると有名です。最近では、県外のバイク好きの方がツーリングでいらっしゃるそう。また、直売所のほか、鶏卵・鶏肉の加工品の販売、飼料の仕入・販売も行っています。

営業部長の大西孝弥さんから鶏たちがどのように飼育されているのか、お話を聞きました。
 
地主共和商会の卵は「平飼い有精卵」が特徴です。
「平飼い」とは、鶏を養鶏場内の地面に放し、自由に動き回れるようにした飼育方法。ケージ飼いの鶏は狭い小さなケージに2,3羽入れられていて、鶏が動き回れるスペースがありません。それに比べ、平飼いの鶏は自由に敷地内を動き回れるためストレスが少ないのです。また、運動量が多いため筋肉があって身がしっかりとしています。
「有精卵」はオス5羽以上に対してメス100羽という条件があります。研究結果では、一般的な卵に比べて、コクと旨味が強く、後引く旨味も加わり濃厚な味わいであると分かっています。

産卵する際は、外敵から卵を守るため高い場所や暗い場所を好む特性を生かし、工場内と繋がっているベルトコンベアーの場所を薄暗くすることで、人の手を使わずに工場に卵を運んでいます。ただ、なかには違う場所で産卵し温めてしまっていることもあるそうで、そのような卵は出荷できません。ケージ飼いに比べて、そういった面で生産コストや作業量が増えてくるとおっしゃっていました。

地主共和商会は昭和41年に飼料の卸売り会社として創業。養鶏業に進出したのは平成元年、先代社長の「誰もやっていないこと、新しいことが好き」という考えから平飼いで3,000羽の飼育を始めました。
 
今、世界中で広まっている「アニマルウェルフェア」の考え。アニマルウェルフェアとは「感受性を持つ生き物としての家畜に心を寄り添わせ、誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、行動要求が満たされた、健康的な生活ができる飼育方法をめざす畜産の在り方」を言います。ヨーロッパやアメリカなどではその考え方が広まり、現在、ケージの飼育が禁止されている国もあります。
 
地主共和商会が平飼いを始めた頃、アニマルウェルフェアの考えは日本であまり広まっていなかったという。現在では、地主共和商会は平飼いで12万羽の鶏を飼育しており、平飼いの養鶏場としては全国1の規模を誇っています。
 
また、飼料の卸売りのノウハウを活かし、トウモロコシをベースに海藻や米ぬかなどを加えた独自の飼料をプラスし、鶏の健康、卵の品質・味が考えられた餌を与えています。

養鶏場内と工場内はベルトコンベアーで繋がっているため、産卵当日に出荷できるようになっています。また、卵のパック詰めを行う際に、洗卵は薬品を一切使わず、強アルカリ、強酸性水の電気分解水を使用、自動ヒビ卵検査装置の導入により肉眼で見落としていたヒビ割れを除去するなど、徹底した品質管理を行っています。工場内には、東北や九州地方まで多くの地域に出荷される卵が並んでいました。

当然のようにスーパーで並べられている卵を、当然のようにその命を頂いている私ですが、アニマルウェルフェアの考えで、鶏に対しての感謝の気持ちを忘れずに大切にしている地主共和商会の体制に、改めて命の有難さを実感しました。

取材後、養鶏場の隣にある直売所「コケコッコー共和国 山の駅よって亭」を訪問しました。
卵かけごはんや鶏焼肉が食べられるレストランのほか、店内には自社の卵を使用した、カステラやプリンなど多くの商品が並んでいました。人気商品というシュークリームを頂いたのですが、カスタードクリームが濃厚、さらりとした甘さでとても美味しかったです。
 
地主共和商会の卵はdどらの生地に使用しており、コクやふんわりとした綺麗な黄色の生地を作っています。
ぜひ、大切に育てられた鶏の卵のコクや旨味を味わっていただけたら嬉しいです。
 
〈店舗情報〉
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住所:〒519-2170 三重県多気郡多気町ヴィソン672-1 サンセバスチャン通り6
電話:0598-67-8570
営業時間:10:00~18:00 無休