その土地に長く続くことをみんなで共有、活用し、未来に繋げる。
私たちは「ロングライフデザイン」を合言葉に、長く続いていることやものを研究・発信する《リサーチ&アーカイブ》、長く続いていることやものを紹介・販売する《セールス&コミュニケーション》、継続性やその土地の個性づくりを開発する《ロングライフクリエイション》の3つを柱に、健やかなものづくりと、そこに大切な意識を広める活動に取り組んでいます。2024年9月までに取り組んだ活動の一部をご紹介します。
セールス&コミュニケーション
埼玉|d SCHOOL わかりやすいワイン
実を結びはじめた、武蔵ワイナリーに学ぶワインづくり。
小川町の「武蔵ワイナリー」を舞台に、年間を通してワインづくりを行なう「福島塾」の【醸造編】。今回は一番大事な作業である、ブドウの収穫と搾汁を行ないました。今年も糖度が高く、出来の良いブドウが沢山育っており、参加者全員で収穫と搾汁作業を進めました。昨年、福島塾に参加していた塾生が、武蔵ワイナリーでワインづくりの修行を始めており、今年はスタッフとして参加していたのが印象的でした。福島塾での交流や出会いから、新しい取り組みが生まれ、d SHOOLの活動が実を結んでいることを実感します。今後も都市部との交流がより深まるよう、きっかけづくりを続けていきます。(尾崎なつ江/D&DEPARTMENT SAITAMA by PUBLIC DINER)
健やかにワインをつくり続ける。ロングライフデザインの会 事務局が、環境の変化に左右されないブドウ栽培を実践する武蔵ワイナリーの代表・福島有造さんに聞きました。
埼玉県小川町は、1970年代から有機農業への取り組みが始まり、今では「有機農業の里」として知られるようになりました。そんな小川町には、武蔵ワイナリーをはじめ、3つの酒蔵と1つのブルワリーがあります。長らく銀行勤めをしていた福島さんは、2010年、40歳の時に有機農業を学びたいと小川町へ。農業研修を始めると同時に酒づくりを学び、現在も酒蔵の杜氏を務める稀有な醸造家です。
福島さんのワインづくりにおいて一番大切にしていることは、ブドウの本来の力を最大限に引き出すこと。
元来、ブドウ栽培には向かないとされてきた地域だからこそ、一般的な栽培方法では十分にブドウを収穫することができません。そこで福島さんは、植物が持つ成長ホルモンを利用した自然栽培に着目。枝を切らずに伸ばすことで根が張り、結果、ブドウが実ることを身をもって体験していきます。
「木が強くなることで、暑さや寒さといった気候の変化にも負けないブドウづくりができている」と、福島さん。
2020年から始まった埼玉店でのd SCHOOLは、今年で4回目を迎え、「福島塾」として年間を通した学びの場に。
「ブドウは生きものだからこそ予定通りに進まないことも多く、参加者の方に満足いただけているだろうか……」と福島さんが悩まれる一方で、埼玉店のオーナーである加賀崎勝弘さんは、「それを含めて、福島さんの考えや思いに触れることに最も価値がある」と言います。
福島さんが目指しているのは、何百年と続く会社。
「ものごとを始めることや実際につくることは得意だが、誰かと続けていくことは難しい。それでもいいものをつくり続けるためには、ブドウも自分も成長しなければならない。d SCHOOLを通してさまざまな人と関わることが、自分の成長に繋がっている」と、福島さん。
来年は、2年1クールとして、栽培から醸造までを学ぶ福島塾を開催予定。素材の力を最大限に引き出した福島さんの健やかなワインを味わい、その背景を学びながら、私たちもブドウと同じようにその土地にしっかりと根を張っていきたいと思います。(ロングライフデザインの会 事務局・渡邉)
→ d SCHOOL わかりやすい武蔵ワイナリー 福島塾【醸造編】 2024年4月25日(木)~全5回コース
→ 武蔵ワイナリー
セールス&コミュニケーション
北海道|木村石鹸 - 石鹸のある暮らし -
石鹸、洗剤選びのヒントを学ぶ、勉強会を開催。
大正13年に創業し、2024年に100周年を迎える「木村石鹸」より宮本成浩さんをお招きし、石鹸にまつわる勉強会を開催しました。今なお職人が手作業で石けんの製造を続けている木村石鹸の歴史や、製品へのこだわり、石鹸自体の原料、種類、正しい使い方などを学び、10種ほどのエッセンシャルオイルを好みの香りに組み合わせた、オリジナルルームスプレーを制作。座談会のような雰囲気の中で、毎日使う身近な石鹸や洗剤への理解が深まる良い機会となりました。今後もこのような活動を継続的に行なっていきます。(望月哲門/D&DEPARTMENT HOKKAIDO by 3KG)
→ 木村石鹸 石鹸のある暮らし 2024年8月27日(火)~9月28日(土)開催
セールス&コミュニケーション
d47食堂|NIPPON UMAMI TOURISMのつづくをたべる会
みんなで日本の食を知り、学び、味わった、千秋楽企画!
d47 MUSEUMの展覧会「NIPPON UMAMI TOURISM(通称:うまみ展)」の集大成企画として、日本各地の郷土料理を一度に味わう会を開催しました。これから先残していきたい郷土料理や各地の食材を使用した料理のほか、参加いただいた出展者の方に、福井県「へしこ寿司」や石川県「いしる鍋」、島根県「しじみ汁」などの郷土料理も振る舞っていただきました。「どれも美味しかった!おなかいっぱい!」「実際にその土地に足を運びたくなった!」と、各地の風土や文化に思いを馳せながら、日本の食を知り、学び、味わう機会となりました。企画展は終了しましたが、d47食堂ではこれからも日本各地の郷土料理や、 料理が生まれる背景を学び、伝え続けていきます。(清水友麻/d47食堂)
→ NIPPON UMAMI TOURISMのつづくをたべる会 2024年9月8日(日)開催
セールス&コミュニケーション
富山|SCOT サマー・シーズン
演劇の魅力を学んだ仲間とともに、年に一度の演劇祭へ。
7月に開催した「d SCHOOL わかりやすい演劇」に参加してくださったみなさんと一緒に、年に一度の演劇祭「SCOT サマー・シーズン」を観劇してきました。「今年は同じ作品を違う劇団が演出するのが見どころ」と、事前のトークで伺っていたため、一人で何作品も見られる方が多かったです。最後は、恒例の「世界の果てからこんにちは」をみなさんと観劇し、舞台上で樽酒を囲んで乾杯! 来年は、SCOTが利賀村に拠点を移して50周年という節目の年になるので、この感動をより多くの方と一緒に分かち合える機会を作りたいです。(進藤仁美/D&DEPARTMENT TOYAMA)
→ SCOT Summer Season 2024
セールス&コミュニケーション
富山|夏の富山ビアガーデン
富山らしさを詰め込んだ、心躍るクラフトビールを紹介。
今回は「富山のクラフトビール」をテーマに、通常メニューに加え、砺波市の「となみ麦酒」や氷見市の「BREWMIN’」など、県内各所に点在するブルワリーから個性豊かなビールを取り揃えました。ビールに合わせた料理は、「肉」をテーマに、県産肉や旬の果物を使った限定メニューを開発。 ブルワリー訪問でスタッフが感じた、多種多様な富山のクラフトビールの特徴や味わい、面白さを体感していただきました。富山店恒例イベントとして、楽しみにしてくださる方が増えたビアガーデン。来年もクラフトビールや料理を通じて、富山を知り、楽しんでいただきたいです。(窪田小春/D&DEPARTMENT DINING TOYAMA)
→ 肉とクラフトビールで知る富山のつづく 夏の富山ビアガーデン! 2024年9月14日(土)~9月15日(日)開催
セールス&コミュニケーション
京都|ふろしきのもののまわり
日本の知恵と美意識を結んで運ぶ、山田繊維の「むす美」を紹介。
京都店では初めての開催となる「ふろしきのもののまわり」。京都の風呂敷専門メーカー山田繊維の立ち上げたふろしきブランド「むす美」の提案する現代の暮らしに寄り添うふろしきについて、誕生の歴史から今に至るまでをご紹介しました。包むものの大小、形状にとらわれることなく、変幻自在に包むことができる一枚の布。鞄のつくり方を披露すると「簡単だから家でもやってみたい!」との声があがりました。相手を想う心を一緒に包む、そんな日本人としてのおもてなしの精神を大切にする山田繊維さんとともに、つづくふろしき文化を伝えていきます。(板津 奈央子/D&DEPARTMENT KYOTO)
→ ふろしきのもののまわり 2024年8月2日(金)~9月9日(月)開催
リサーチ&アーカイブ
沖縄|民具の製作所訪問
沖縄の暮らしの知恵や文化を次世代に伝える、民具の今。
沖縄の植物を使い民具を製作する「nikadori」の荷川取大祐さんを訪ね、手提げ籠の材料となる、月桃の繊維を削ぐ工程を体験しました。家庭科教師でアーティストでもある荷川取さんは、「沖縄に在るもの」をものづくりの根幹とし、沖縄の植物を用いた民具やオブジェ、廃材を活用した作品を手がけることで、民具の可能性を広げています。使う人が減ることで、素材や作り手も減少している沖縄の民具が未来につづくために。沖縄店では2025年の夏に、さまざまな角度から民具を学ぶ企画展を開催します。実演やワークショップなど、沖縄の植物から道具が作られる体験を通じて、民具の尊さや可能性を、多くの方に伝えていきます。お楽しみに!(島袋みのり/D&DEPARTMENT OKINAWA by PLAZA3)
→ 関連企画|d SCHOOL わかりやすい民具 - 月桃コースターをつくる会 - 2024年11月3日(日)・11月4日(月・祝)開催
ロングライフクリエイション
三重|メニュー開発
地域を代表する旬を味わう、梨とかぼすのスカッシュ。
津市の久居地区は、「ひさい梨」で知られる三重県を代表する梨の産地です。今年は津市にある「工藤果樹園」で採れた瑞々しい梨を使って「梨とかぼすのスカッシュ」を作りました。まだまだ暑さが厳しかった9月、さっぱりとしたスカッシュは子どもから大人まで大変好評いただきました。今年は、三重県産かぼすが不作の影響で手に入らず、大分県産のものを使用しましたが、改めて、生産者の苦労や食材を取り巻く状況について考える機会となりました。その土地の美味しい食材を楽しみながら、その背景にも関心を持っていただけるよう、メニュー開発や活動を通して伝え続けます。(溝田麻子/D&DEPARTMENT MIE by VISON)
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