イタリアデザイン界の巨匠、アッキーレ・カスティリオーニが1962年にデザインしたフロアライトです。1960年代の家具・照明などが特集された本には、必ず掲載されていると言っても過言ではないほどの、60年代を代表する作品のひとつです。ライト部はちょっと考えてみると自動車のヘッドライトということがすぐにおわかりいただけると思いますが、フレームの部分は釣り竿であるということにはおそらく気づかないのではないでしょうか。トイオ(Toio)は既成製品を組み合わせて新しい価値観を創造するアッキーレ・カスティリオーニの、まさに典型的な作品です。
●アッキーレ・カスティリオーニ( Achille Castiglioni )
1918年イタリア・ミラノ生まれ。ミラノ工科大学建築学科を卒業後、1944年から兄のピエール・ジャコモとともに建築家・デザイナーとしてキャリアをスタート。手がけたデザインは照明にとどまらず、家具やテーブルウェアなど幅広かった。多くの人たちに愛された作品は、世界中の美術館に収納されている。
代表作には自動車のヘッドランプと釣り竿を組み合わせた「トイオ」のほか、ラッカーで塗装されたトラクターのシートを、スチールを折り曲げた脚に取り付けた「メツァドロ」や、競技用自転車のサドルを利用したスツール「セラ」などがある。