木桶による発酵文化を次世代に。
木桶で仕込んだお酒をセットにしました
蔵に住まう微生物にとって働きやすい住処となる“木桶”は、日本食のベースとなる醤油や味噌や酒の、その土地らしい味わいを醸し、各地の食文化を育んできました。しかし、時代の変化に伴って、木桶を使う人や木桶をつくる職人は減少しています。そんな現実を前に、全ての醤油を木桶で仕込む香川の醤油蔵「ヤマロク醤油」の山本康夫さんが、「木桶で仕込む営みや味わいを、この先にも伝えていきたい」と立ち上がり、自ら技術を身につけて、その良さを広める活動を続けてきました。その動きが徐々に日本各地へと広まり、最近では海外にも、その想いに賛同する蔵元が登場しています。
木桶仕込みのお酒を楽しむことは、木桶の未来をつくること。それが、木桶が生み出すおいしさを、次世代へ伝えていくことにも繋がります。このセットを通して、木桶の味わいと、木桶による発酵文化の現在を、じっくりお楽しみいただけたらと思います。
セット内容
●仁井田本家 しぜんしゅ 生もと O.K 木桶仕込み 生もと・酵母無添加(蔵付き酵母)
先々代が蔵に残した杉林の木が成長したのを機に、原点に返り、その木で仕込み桶をつくる構想が生まれた。2021年、震災から10年の節目である今季、自社山の杉の木で造った木桶が搬入され、いよいよ自社杉の木桶・自社田の自然米・蔵の天然水での酒造りを行う。蔵に棲む菌が活躍することで生まれる木桶仕込みの複雑さと、お米の甘み・旨みを最大限に引き出す蔵独自の仕込み「汲み出し四段」によるジューシーさの織りなす、奥深い味わい。
内容量:720ml|原料米:亀ノ尾|精米歩合:80%|アルコール度数:16.5度
●寺田本家 木桶仕込
2014年にご縁のあった福岡の酒蔵から譲り受けた木桶で仕込みを始める。寺田本家が行うのは、豊かな木桶の文化を次の世代に受け継ぎ、さらなる微生物との響き合いをめざして進化する自然酒造り。
「木桶仕込」は自家田で育てた在来種・中生神力(なかてしんりき)を原料米に使用。お酒の色は、長期熟成に伴い、時間とともに琥珀色が濃くなる。まれに出る熟成した茶色いオリはお酒に含まれる米由来の糖分やアミノ酸の成分によるもの。
木桶にはたくさんの微生物が住まうと言われ、その微生物たちが木桶ならではの、独特でまろやかな味わいを生み出してくれます。無濾過の原酒なので旨味・味わいも濃く、ロックにしても、燗につけても、お好みにあわせたスタイルでおいしく召し上がっていただけます。
内容量:720ml|原料米:在来種「中生神力」|精米歩合:麹米80% 掛米80%|アルコール度数:19.5度
読む >「寺田本家 24代目 寺田優」
読む >「香川県の“ものづくり”の話を聞く。木桶職人復活プロジェクト」
2012年、山本さんの呼びかけから始まった「木桶職人復活プロジェクト」。木桶の作り手や使い手が集まり、毎年1月には小豆島で新桶づくりを行っています。
読む >「1%のシェアを取り合うより、みんなで2%にする方がいい。前編 / 後編」
d47 MUSEUM(渋谷・ヒカリエ)「NIPPONの47人 2016 食の活動プロジェクト」展に際して行われたインタビュー。これを機に、d47食堂には木桶が置かれることとなりました。