NIPPON UMAMI TOURISM TALK ワークショップを通して風土を伝える

d47 MUSEUMにて開催中の企画展「NIPPON UMAMI TOURISM」の関連企画として、「メディア」をキーワードに、農業従事者の人々を取り上げた映画「百姓の百の声」の上映会や、「農業に学び、地域とともに」生きることを根幹に活動する「農文協」が出版する「現代農業」「うかたま」の両編集長とのトーク。また、法政大学教授・湯澤規子さん、東京工業大学教授・真田純子さんをゲストにお迎えし「ごはん × 風景」をテーマにしたワークショップを開催します。

 

TALK 3 では、自分の食の物語を振り返るワークショップと、ゲストのクロストークを通して、これからの「食の風景」について考えます。

ワークショップでは、「ごはん × 風景」をテーマに、紙皿の上に参加者それぞれの風景に基づく食の物語「食べものがたり」を書き、それを共有し合います。自分の「食べものがたり」を振り返りつつ、さまざまな世代、地域から集まった参加者の話を聞くことで、自分がたどってきた食の歴史だけでなく、さまざまな世代、土地の「ごはんの風景」を知るプログラムです。

 

 

また、その後にはゲストお二人のクロストークを開催。

「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワークを重ねる法政大学教授・湯澤規子さんと、景観工学を専門に、農村の風景を保全するべく「風景をつくるごはん」プロジェクトを主宰する東京工業大学教授・真田純子さんのお二人の視点から、「メディア」というキーワードをもとに自身が大切にしている視点や取り組みについてお話を伺います。

 

ワークショップで、今までたどってきた自分の「食べものがたり」を知りながら、お二人のトークを聞くことで、これからの「食の風景」について考えるきっかけになればと思います。

 

ゲスト | 真田純子(東京工業大学教授)/湯澤規子(法政大学教授)

 

d47 MUSEUM「NIPPON UMAMI TOURISM」関連企画

d47 MUSEUM第34回企画展「NIPPON UMAMI TOURISM」は「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その保存会や農家などのつくり手、老舗の飲食店まで、食文化を伝える活動を合わせてご紹介することで、日本各地の食の風景を感じていただく展覧会です。そんな展覧会をさらに深く、さまざまな視点で紐解くイベントを開催いたします。

NIPPON UMAMI TOURISM TALKイベント一覧
○DAY1 6/15(土)風土を伝えるメディアの役割とこれから
○DAY2 7/5(金)海藻食文化日本
○DAY3 ※詳細は決まり次第公開します。どうぞお楽しみに。
○DAY4 9/8(日)郷土料理を道具から考える

NIPPON UMAMI TOURISM TALK ワークショップを通して風土を伝える

日程
2024/6/15(土)
時間
16:30~18:00
場所
8/COURT(渋谷ヒカリエ8F) Map 8/COURT
参加費
¥2,200(税込)
定員
40名

●お申込み方法:web/店頭
●お問い合わせ:03-6427-2301(d47 MUSEUM)

※お客様都合によるお申し込み後のキャンセルおよび返金はお受けしておりませんので、予めご了承ください。

イベント企画趣旨
d47食堂では、1年におよそ3~4回、その土地の定食を開発する目的で、各地の生産者や郷土料理を訪ね学ぶ旅を、スタッフらとともに巡ります。
そのリサーチとして、学ばせていただいてるのが、農文協が長く発行しつづけている「日本の食生活全集」。時代は1930年頃の昭和初期。日本各地の食文化を体験しながら生活をしていた方々を対象に、聞き書きを重ねた、貴重な各都道府県の食文化と暮らしの記録集です。すでにその当時から、これから食文化が減退する可能性があるという危機感のもと、次の世代へと伝え継ぐことを目指して出版されたのだと聞きます。その当時ですでに、なのです。
そして、現在、おそらく当初の予想を上回る勢いで、各地の固有の食文化は失われつつあると思います。僕たち自身、各地を巡る中で、この書籍の中で知った料理をいただくことが難しかった、という経験をしてきました。ただ、そこに記載があることは、いつか次の世代が新たな挑戦として復活を試みる可能性もあるのではないか、とも感じてきました。

本展では、秋田の沼山大根栽培による「いぶりがっこ」生産、滋賀の「ふなずし」の木桶仕込みなど、経済合理性や保健衛生などの観点ではなくなりつつあった文化も、在来作物の種継ぎや道具も含めた地域循環、もちろん本来の味の魅力を踏まえて、次の世代が新たな挑戦として、過去の良い実例をもとに、その文化の継承に挑戦している姿があります。もちろん、過去の取り組みが全て良いわけではないですし、復活することだけが挑戦というわけではありません。しかしながら、今の時代になってみて、その本当の価値に気づける、ということは確かにあると思うのです。その時、メディアが伝え残した、歴史や記録は大きなヒントとなり得ます。

農業や食文化を伝えるメディアの役割は、いつの時代にも変化や進化を遂げてきたと思います。現在の農家の声を聞き、アーカイブし、未来に向けた可能性を広げるきっかけとなってきたことは、事実としてある思います。メディアは、これからも可能性の媒介者となり、世代を超え、地域を超え、つなぎ、伝える役割を担っていくと思います。伝える現場の最前線で活躍されている、ゲストの方々から、文化や風土を伝えるメディアの役割と、これからについてを伺ってみたいと思います。

「NIPPON UMAMI TOURISM」 キュレーター 相馬夕輝
登壇者プロフィール
真田純子(東京工業大学 環境・社会理工学院 教授)
1974年広島県生まれ。東京工業大学環境・社会理工学院教授。博士(工学)。徳島大学助教、東京工業大学准教授を経て、現職。専門は都市計画史、農村景観、石積み。石積み技術をもつ人・習いたい人・直してほしい田畑を持つ人のマッチングを目指して、2013年に「石積み学校」を立ち上げ、2020年に一般社団法人化。同法人代表理事。著書に『都市の緑はどうあるべきか』(技法堂出版)、『誰でもできる石積み入門』(農文協)、『風景をつくるごはん』(農文協)など。
湯澤規子(法政大学 人間環境学部 教授)
1974年大阪府生まれ。法政大学人間環境学部教授。博士(文学)。明治大学経営学部専任講師、筑波大学生命環境系准教授を経て、現職。「生きる」をテーマに地理学、歴史学、経済学の視点から、当たり前の日常を問い直すフィールドワーカー。主な著書に『胃袋の近代―食と人びとの日常史』(名古屋大学出版会)、『7袋のポテトチップス―食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社)、『食べものがたりのすすめ―「食」から広がるワークショップ入門』(農文協)、絵本シリーズ『うんこでつながる世界とわたし』(農文協)など、「食べる」と「出す」をつなぐ思索と活動を展開中。
相馬夕輝 (展覧会キュレーター/D&DEPARTMENT・d47食堂 つづくをたべるディレクター)
1980年生まれ。D&DEPARTMENT OSAKA店長、ストア事業部門ディレクターを経て、飲食部門「つづくをたべる部」ディレクター。全国を取材し、その土地の食文化を活かしたメニュー開発や、イベント企画などを手がける。2016年より「渋谷のラジオ」内番組〈SHIBUYA d&RADIO〉パーソナリティー。
NIPPON UMAMI TOURISM
東京・渋谷のd47 MUSEUMで開催される「LONG LIFE DESIGN」展。第三回目となる今回は「うまみ」をキーワードに、47都道府県の郷土料理と、その文化を伝える活動から、食のLONG LIFE DESIGNを考えます。日本を発祥とし、今や世界共通語となっている「UMAMI」を、味覚としてのうまみを指すだけではなく、それが生まれた背景も含めて語られるべきものととらえ、その土地で生きる知恵として受け継がれてきた、それぞれの風土に繋がる47の「うまみ」を通して、各地の食の風景を感じていただく企画展です。

会期:2024/4/26(金)~9/15(日)
会場:d47 MUSEUM(渋谷ヒカリエ8F)
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