D&DEPARTMENT福島店は、東北初の店舗として2023年6月にオープンしました。このたび、オープン1周年を記念し、クラフトビールの自由なカルチャーで日本酒を再編集するhaccoba-Craft Sake Brewery-とともにオリジナルのクラフトサケ「1st Anniv. -Harvest-」をつくりました。
福島県南相馬市小高区にあるhaccoba。かつての自由な酒づくりこそが発酵文化の源流であると捉え、ジャンルを超えた酒づくりを追求し、クラフトサケをつくられています。そんな酒づくりのスタイルはさまざまで、現代のクラフトビールの醸造スタイルを取り入れたお酒、地元の農家さんたちのお米を使って仕込むお酒や、自由研究のようにアートやファッションなど多様なカルチャーを取り入れたお酒など、どれもすぐに売り切れてしまうほどにたくさんの熱いファンがいらっしゃいます。
はじまりは、福島店の運営元であるHelvetica Designとhaccobaとで2023年に「ema」というオリジナルのクラフトサケをつくったことがあり、次回は福島店とも一緒に作らせていただきたいとお話ししていました。ちょうど福島店の1周年に合わせて、記念するようなお酒にしたいと販売時期を考えていました。
クラフトサケの開発を進める中で、福島店でつくるなら、店頭で販売している県内の生産者さんの原料を使ってお酒を仕込んでみたら福島店らしさのあるお酒になるのではないかというお話になりました。
原料には福島店で販売中の、只見町の米焼酎「ねっか」のお米、飯舘村の「SHIRUBE」のホーリーバジルを使用。ホーリーバジルは、イタリア料理でお馴染みのスイートバジルより香りが強く、スパイシーな刺激や清涼感があるハーブ。また、アダプトゲンハーブとも言われ、「副作用がない」「ストレスに対する抵抗力を高める」「体調を整える働きがある」という条件を満たすハーブのひとつです。
「SHIRUBE」はSAGA DESIGN SEEDSが運営するアロマブランド。デザイン会社であるSAGA DESIGN SEEDSは福島市を拠点としていましたが、飯舘村と30年以上の関係があり、新たに飯舘村にも事務所を開設しました。飯舘村は畑をされている方がたくさんいらっしゃった地域ですが、東日本大震災で起きた福島第一原発事故の放射能汚染の影響により、村は一時全村避難となっていました。解除されたのは6年後、震災当時6,000人だった人口は1,400人となってしまいました。農家の方も減ってしまい、耕作放棄地が増えてしまいました。そんな中、SAGA DESIGN SEEDSの渡部沙織さんは、耕作放棄地で新たな価値を生み出すブランドを作りたいという想いからホーリーバジルに注目し、「SHIRUBE」を立ち上げました。ホーリーバジルを栽培し商品化できたのはちょうど2024年春からでした。福島店でも商品化直後から、店頭販売をしています。
合同会社ねっかは米農家たちが自然豊かなふるさとを残すため、豪雪地である只見町の雇用を増やすことや田んぼの面積を増やすことを考え、夏は食用の米と酒米をつくり、冬はその米で米焼酎をつくっています。
また、只見に住む子どもたちへの教育も熱心で、子どもたちと一緒に田植えから稲刈り、そして酒造りまでも行っています。福島店では2024年7月から9月まで「ねっかのもののまわり」を開催。ねっかの米焼酎とともに彼らの活動を紹介していきました。
お酒ができあがる直前の2024年5月、haccobaへ福島店スタッフと見学へいきました。
酒蔵を見学し、代表の佐藤太亮さんからもクラフトサケをつくろうと思ったきっかけや、バイブルにしている本のお話しなど伺いました。仕込んでいる中で、飯舘村のホーリーバジルでないものでも試されたのですが、飯舘村のものは本当にいい香りで、美味しく仕込むことができたと話してくださいました。
そして完成。2024年6月9日には、福島店の1周年イベントを開催。当日は佐藤さんとD&DEPARTMENTの食部門のディレクター・相馬夕輝が登壇、お酒づくりの話やこれから目指すこと、コミュニティづくりの話など多岐にわたってお話ししていただきました。また、ご参加いただいた皆さまに一足早く、「1st Anniv. -Harvest-」も飲んでいただきました。
奥会津という山あいの地域、福島県のやや中央に位置する里山の飯舘村、haccobaのある沿岸部の小高区、という山・里・海3つのエリアがつながり出来たお酒は、ホーリーバジルの清涼感のある香りが広がる爽やかな味わいに仕上がっております。ぜひ、広大な福島の土地が融合したお酒をお楽しみください。
<ラベルデザインについて>
ラベルは福島店を運営するHelvetica Designがデザインしました。案の段階では、ホーリーバジルの香りもラベルにつけて一緒に届けられないか、ねっかの使わなくなった米袋をラベルとして使用できないかなど試行錯誤していました。最終的に、3社でつくったことを一番伝えたく、三角形に落とし込みました。三角形の形は、原材料で使っているねっかのお米が栽培されいてる只見町、ホーリーバジルを栽培する飯舘村、そしてhaccobaのある小高区の位置関係を表した形です。三角形の中のモチーフには各土地を代表するイメージ、只見町の田んぼと、すずめを撃退してくれるハヤブサ、飯舘村のホーリーバジル、小高の波とグラスを表現。モチーフが重なり合うことで3社の繋がりを表現しています。
人の手が作り出す味わいを表現したく、福島店のスタッフが手作業でモチーフを描き、カットし、コラージュしたデザインとなっています。
Helvetica Design株式会社