静岡県浜松市は、江戸時代から綿織物や染色の産業が発達し、最盛期には約100軒程の染工場があったと言われています。天竜川の豊かな水と、温暖な気候、時折吹く“遠州の空っ風”は、大量の水と乾燥を必要とする染色業にとって、恵まれた土地でした。
染色家・山内武志さんは、紺屋(染物屋)に生まれ、高校を卒業と同時に人間国宝の染色家・故 芹沢_介の元に6年間師事。地元に戻り、父と紺屋を営みながら、1968年に独立。工房を新設し、染色作家として、独自のものづくりに向き合われています。
染めの仕事は、私たちが想像するよりも遥かに体力を必要とします。山内さんは、86歳を迎えた今でも日々工房に立ち、型紙を彫ることから、糊つけ、調色、染色までのすべての工程をひとりで行なっています。
日々工房に立ち、布と対話しながら、染める続ける情熱は、一体どこからくるのか。工房に飾られていた、柳宗悦の一句「今よりなきに」の手ぬぐい額は、山内さん自身の仕事に対する向き合い方に直結していると感じています。山内さんが染める暖簾、椅子敷き、風呂敷などを通じて、染めものの仕事について、知っていただく機会になればと思います。
\8月24日(土)にお話し会やワークショップも開催/
染めやデザインについてお話を伺いながら、「合羽摺り(摺り込み染)」で文庫本のカバーを一緒に製作します。シンプルな文様を型紙に彫り、反転したり、重ねたり、イメージの変化を楽しみながら染めていきます。また、同日にお話し会も開催します。